かび小僧

  • URLをコピーしました!

我が家の畳替えをして、間もない頃のお話です。
まだ い草の香りが強い畳の上で、洗濯物をたたんでいた時に、右斜め前方から「黒い何か」が自分めがけて走ってきました。
「何だ?」と凝視すると、二足歩行で人の容姿の黒い物体が。
今度は私の目の前で角度を変え、目の前を横切っていく。
まるで茶化されているような様子に、私も徐々にいたずら心が出て「カビ小僧め!」と、その物体の側に手を振り下ろし、捕まえるそぶりを見せると、畳のへりとヘリの間にサッと潜ってしまったのでした。
何だったのだろうと思った瞬間、義母からの電話が。
電話の内容は「畳替えをしたころはカビが発生しやすいから、よく乾拭きをしておいた方がよい」とアドバイスを聞き、「やはりカビ小僧だったのか」と可笑しく、暫く笑いが止まらず。
先ほど隠れた場所を定規でカリカリしながら「出てこい」などと呼びだしたものの、それきり姿をみていないのがちょっと残念。

意外と家の中にも、普段は気づきにくい「息づくもの達」は結構いるものです。
特に家の中で息づくもの達は「当たり前」を隠れ蓑とします。
目に移っても脳から「普段からある当たり前の存在」として処理され、気づけないことがあります。

もし、目にしたいと思うのであれば、一つ一つに焦点をあてること。
目の前のものを丁寧に一つ一つ認識していくことで、「息づくもの」の存在に気付けるかもしれません。



この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
目次