もうひとつの空 少林寺拳法

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約3か月間、連日行われた不思議な体験のお話です。

寝入りばなにいつも訪れてくる人がいました。
シルエットや声ははっきりしているのに顔だけは見えない人。
私にとっては馴染みのあるその人は、私をある空間に連れていくのです。
そこは大きな少林寺拳法の修行場で、時には道院、時には野外と修行内容によって場所が変わり
修行も始めは立ち方や、構え方から始まり、とにかく走る・走る・走る。
現実では一晩中だけど、修行場の世界では永遠と思われるほど修錬し、起床時にやっと起き上がるような時もありました。
日が経つごとに行が身についていく感覚、日常でも呼吸が深くなり体重は2キロ程減少し位でしたが、身体が引き締まり、体幹が強く変化していくのを感じるようになりました。

ちょうどこの頃、数十年太極拳を修行している友人から、「太極拳か何か修行している?」と言われました。
私は「してないよ。なぜ?」と聞くと、その人は「修行してる人の体形だなと思って、あと歩き方もそんな感じだと思ったよ」と話してくれたのでした。

その修行は3か月経ったある日、突然「終了」の言葉を最後に、それ以降修行場に連れていかれることがありません。
現在となっては、あの修行してた頃の所作はできないけれど、修行を通して学んだ自己に向き合う姿勢は、今なお持ち続けているような気がします。

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